ノートンさんが手伝ってくれるって事で、早速クレイイールのお料理開始。
「これ、あんまりぬるぬるしないんだなぁ」
見た目はウナギそっくりなんだけど、大きさとか色が違ってるのとおんなじでこのクレイイールはウナギほどぬるぬるしてなかったんだよね。
だからウナギだとまな板に打ち付けてからじゃないとお料理できないけど、これはまな板の上にのっけただけで斬る事ができるんだ。
「ん、何をするつもりなんだ? これは尾の方だからはらわたは無いだろう?」
だからお料理用のナイフを使ってクレイイールを切ろうとしたら、それを見たノートンさんが内臓はそこには無いよって言ってきたんだよね。
これには僕、すっごくびっくりしたんだけど……。
「そういえばお魚って、内臓をとって洗ったらそのまんま使うんだっけ」
イーノックカウの宿屋さんや食べ物屋さんで出てくるお魚って、ひとりで食べられるくらいのおっきさならそのまんま出てくるし、すっごくおっきなお魚でもぶつ切りになってお料理に入ってるのが普通なんだ。
それにね、僕んちでたまに出てくる川で捕ったお魚も、この街のとおんなじでそのまんまかぶつ切りなんだよ。
って事はさ、僕がクレイイールを開こうとしてるのを見たノートンさんがびっくりするのも当たり前なのかも?
そう思った僕は、なんで切るのかを教えてあげる事にしたんだ。
「あのね、このお魚ってすっごくいっぱい脂があるでしょ?」
「ああ、そうだな」
「それに骨もいっぱいるから、こうやって」
僕はそう言いながらナイフでクレイイールをお腹の方からバーっと切り開くと、中にある骨をナイフで切って取り外したんだ。
「ほら。こうしたら骨が無くなっちゃうし、焼いた時に脂もいっぱい落ちるでしょ?」
「なるほど。確かにこうすれば食べやすくなるな」
ノートンさんは料理人さんだから、他のお魚で流行んない方法なのに、クレイイールをお料理するのにはいい方法だねって解ってくれたみたい。
だから僕は、そのまんま次の工程に行く事にしたんだ。
「ノートンさん。血と泥をとっちゃうからお水持ってきて」
クレイイールの串焼きを作ってたおじさんが、このお魚の血には毒があるんだよって言ってたでしょ?
だから僕、開いたクレイイールを洗おうと思ってノートンさんにお水をとって来てって頼んだんだよ。
でもそれを聞いたノートンさんは、不思議そうなお顔をして僕に聞いてきたんだよね。
「それは構わないが……血はともかく、泥は取れないんじゃないか?」
「うん。ほんとは生きてるのを綺麗なお水に入れといて泥を抜くんだって。でもこのお魚、死んじゃってるでしょ? だから錬金術の抽出を使って血と一緒に洗っちゃおうって思ってるんだ」
「なるほど。そう言えばルディーン君は、旦那様と同じように錬金術が使えるんだったな」
ノートンさんは錬金術なんて使えないから、抽出を使って泥抜きをするなんて思ってもいなかったみたい。
だから僕のお話を聞くとすごい事を考えるねって言いながら、お水をとってきてくれたんだ。
「ありがとう。それじゃあ、やっちゃうね」
ノートンさんからお水が入った洗い桶を渡してもらった僕は、その中でクレイイールを洗いながら鑑定解析。
抽出するものが泥って解ってるし、入ってる量も何日かきれいなお水にいろとくだけで抜けちゃうくらいちょびっとしか入ってないもんだから、簡単に取り出す事ができちゃったんだ。
「うん。これでおいしくなったと思うよ」
「こんなにあっという間に泥抜きが終わるだなんて、ほんと便利だなぁ」
ノートンさんはね、お料理の腕はかなりいいんだけど魔力があんまりないみたいなんだよね。
だから僕みたいに発酵や熟成のスキルを覚える事が出来ないから、錬金術の抽出が便利だなぁって思っても覚える事ができないんだって。
「魔力があるやつならこの技術はかなり有効dな。ルディーン君。このやり方、商業ギルドに登録してからでいいから、知り合いの料理人に教えてもいいか?」
でもね、僕とおんなじようにスキルが使える人だったら錬金術を覚える事ができるかもしれないでしょ?
だからノートンさんは、これを他の人に教えていい? って聞いた来たんだよね。
「うん、いいよ。でも、錬金術で抽出できるなんて誰でも知ってる事だから、お友達の料理人さん、そんな事知ってるよって笑わないかなぁ?」
「いや、流石にそれは無い。抽出を料理に応用できるだなんて、旦那様からも聞いた事が無いからな」
う〜ん、それはロルフさんがお料理しないからなんじゃないかなぁ?
僕はそう思ったんだけど、ノートンさんは絶対みんな知らないからって、クレイイールのお料理が終わったらすぐに商業ギルドまで登録をしに行ってくるよって笑ったんd。
血も洗ったし、泥抜きも住んだって事で次の工程へ。
オヒルナンデスヨでやってたんだけど、ウナギって一度焼いてから蒸して、それからたれをつけてもう一回炊いて作るんだよって言ってたんだよね。
だからまずは焼かないとダメなんだけど……。
「そういえば、ウナギって炭で焼いてたっけ」
ウナギって火で直接あぶって焼くんじゃなくって、炭ってのを使って焼いてたんだよね。
でもさ、僕の村ではすみなんて使ってなかったもん。
だからもしかしたらそんなの無いのかも? って思ったんだけど、
「炭で焼くのか? なるほど、確かにこいつは脂の多い鳥肉と同じようなものだからな、直火で焼くよりもその方が美味しく焼けるか」
ノートンさんに聞いてみたら、鶏肉を焼く時に使うからあるよって。
でね、火を起こしてくれるって言ったもんだから、僕はその間に串打ちをする事にしたんだ。
ホントはこの串打ちって、竹で作った串を使うでしょ?
でもそんなのないから、僕はいつもみたいにポシェットから鋼の玉を出して、クリエイト魔法で何本かの串を作ったんだ。
でね、それを焼きやすいように何個かに切ったクレイイールに刺してったんだけど、
「ウナギの串打ちってすっごく難しいって言ってたのに、思ったより簡単かも?」
そしたら簡単にできちゃったもんだから、僕、すっごくびっくりしたんだ。
でもね、ちょっと考えたら当たり前なのかも?
だってこのクレイイールってお魚、前の世界のウナギよりもずっとおっきいんだもん。
その分身も厚いし皮もちょっとは丈夫だから、きっとこんなに簡単にさせたんだろうね。
「火が起こったけど、これでいいか?」
僕が全部のクレイイールに串を打ち終わるとね、それからちょっとしてノートンさんが炭に火がついたよって。
だからそれを見に行ったんだけど、そしたら炭がぼうぼう燃えてるんだもん。
それを見た僕は、ノートンさんにこれじゃダメだよって言ったんだ。
「何故だ? ちゃんと火はついてるだろ?」
「火はついてるけど、これじゃあ薪で焼いてるのとおんなじじゃないか!」
これもおヒルナンデスヨでウナギ屋さんの人が言ってたんだけど、炭で焼く時は火がぼうぼう燃えてちゃダメなんだって。
何でかって言うとね、炭全体に火がつくとぼうぼう燃え無くなる代わりにえんせきがいせんってのが出てくるそうなんだ。
でね、それで焼くとぼうぼう燃えてる火と違って全体に火が入るからふっくらと美味しく焼けるんだってさ。
「なるほど。鳥を焼く時に住みを使うのは脂が落ちていい香りがつくからだと聞いていたんだが、火の状態によっても違うんだな」
「うん。だからね、こうやって炭を崩して……ほら、この真っ赤になってるので焼くといいんだよ」
重なってる炭を崩すと、下の方から真っ赤っかになってる炭が出て来たから、ぼうぼう燃えてるのはちょっと横にずらしてその上に焼き網を置いたんだ。
でね、その上にさっき串を撃ったクレイイールを皮を下にしておいてくと、焼けてきたのか脂が炭の下に落ちてとってもいいにおいがしてきたんだよね。
「クレイイールは、油の焼ける香りだけは他のどんな魚よりいいんだよなぁ」
「ほんと、おいしそうなにおいだよね」
僕とノートンさんは、焦げちゃわないように何度かひっくり返しながらクレイイールを焼いてったんだ。
そしたらね、最初は真っ白だった身がこんがりときつね色になって、とってもおいしそうに焼きがったんだよね。
「おお、見た目は美味そうに焼けたな」
ノートンさんはそう言うと、焼けたうちの一個を串から抜いてガブってかじりついたんだ。
「塩も振ってないからかなり薄味だが、多すぎる脂が落ちると同時に実の表面を焦がしてくれるおかげか香ばしくなってかなり美味いな」
そしたらさ、すっごくびっくりしたお顔になって、これ、すっごくおいしく焼けてるよなんて言うんだもん。
だから僕、それを聞いてすっごくびっくりしたんだ。
だってさ、まだ蒸してないし、たれもつけてないんだもん。
「ほんとに、おいしい?」
「ああ。まさかクレイイールをうまいと思う日が来るなんて思ってもいなかったが、味付け次第では旦那様にお出ししてもいいと思えるくらい上品な味に焼きあがってるぞ」
ノートンさんはね、串から抜いたクレイイールを食べながら、どんな味付けをすれば美味しくなるだろう? なんて言ってるんだもん。
それを見た僕は、まだたれを付けるどころか蒸してもいないのにそんなに美味しくなってるなんて、もしかしたら前の世界のウナギとは違うものなのかなぁ? なんて考えてたんだ。
ウナギの調理法を知っている人なら解ると思いますが、これって白焼き名の状態なんですよね。
これ、わさび醤油で食べるとかば焼きとはまた違った美味しさでお酒にとても合うんですよ。
だから美味しいのは当たり前なんですが、ルディーン君の前世は高校生で死んでしまっているためにこの白焼きを知りません。
なのでノートンさんが美味しいと言っているのを見て、ものすごくびっくりしたと言う訳です。